私の持つ資源を未来に繋げるその日まで―。 沖縄特有の農作物を生産する金城さんの足取り

沖縄県名護市で農作物の栽培から加工・販売までを担う、ネクストステージ沖縄合同会社。その代表を務めるのが、今回お話を伺った金城恵子さんです。「沖縄のものをもっと広めたい」という思いから、既に扱っているものだけでも、よもぎ、島唐辛子、落花生、パイン、マンゴー…と実に多品種。今回「旅するチーズケーキ」で使わせていただいたよもぎについてはもちろん、金城さんご自身の将来的な目標までを伺いました。

小ロット多品種、6次産業を究める道のり

私たちの会社では、ただ農作物を生産するだけでなく、「6次産業」の推進を図っています。聞いたことのない方もいらっしゃるかもしれませんが、生産者(1次産業者)が加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)までも行う方式を指します。これにより経営の多角化を図ること、そしてより多くの人に農業という職域で活躍してもらうことをめざしているんです。

私の根本には、生まれ育った沖縄のものを大事にしたい・より多くの人に知ってもらいたい、というのがありますから、扱っている品種も既に20ほど。「加工」と言っても手を加えるのは最小限に、沖縄らしさや自然の恵みを感じてもらいたいなと思っています。

おばあちゃん達が愛したよもぎを今日へ

さて、今回の「旅するチーズケーキ」では、よもぎを使ってもらうことになりました。沖縄の言葉では「ふーちばー」って言うんですが、私たちにとってはすごく馴染みのある食材。ただ、さすがにチーズケーキは!初めての試みで、私もとても楽しみにしているところです。

沖縄ではどのように使われているかを紹介すると、沖縄そばやお味噌汁、ヤギ汁などをいただく際に、上から少量かけていただくことが多いです。それとおばあちゃんやそのさらに前の時代では、いわゆる民間療法の一つとしても使われてきました。よもぎは抗菌効果や炎症を抑える力、血流を良くする効果などを持つと言われていて、傷の手当てに用いられたり、風邪を引いたときには薬草として煎じて飲まされたりなんかもしていました。

そういった昔ながらの沖縄の習わしが元になって、私たちの会社でもよもぎの入浴剤やオイル、ミストなどをつくっています。よもぎって実は、売り物として栽培しようとするとすごく手がかかるんです。ただどうしても市場では安くしか売ることができませんから、加工することで付加価値をつけていけたらと考えています。

私の持っているものを、次の誰かへ繋ぎたい

おかげさまでこの会社も設立から10年が過ぎ、一緒になって農作物を育ててくれる人も多くなってきました。若い人の中には「私の作っている〇〇を使って、こんな商品をつくりたい!」と持ってきてくれる人もいます。ですが、栽培の難しさと加工して販売することの難しさは、また別物なんです。この大変さを何から何まで伝えようとすると、今は体が足りないのが正直なところです(苦笑)

ただ、私がノウハウを抱えて持っている以上は、私の資源にしかならない。事業をこれから起こしたい人たちの役に立てる人材になれたらなと、今後については考えているんです。将来的には、この会社の機器をリース化したり、新たな商品化をサポートする仕組みをつくったりして、未来に生きる事業を一緒になって見つけていけたら最高ですね。