農業を日本一かっこいい職業にする! 熱量を武器に、狙うは逆転ホームラン
滋賀県草津市に農業のイメージを変えようと奮闘する若きチャレンジャーがいます。メロンや水菜を栽培する、横江青果の横江巧真さんです。小さい頃から身近にあった農業も、何を隠そう長らく「ダサい」と嫌っていた職業。今に至るまでの変遷と、将来に向けた展望を伺いました。
実家は農家、だけれども「俺は絶対にならへん」
今でこそ農業を生業にしている私ですが、子供の頃の自分がそれを聞いたら絶対に信じない。そう言えるほど、自分が農家になるとは全く思っていませんでした。実家は農家だったわけですから、生まれた時から身近な存在ではありましたが、当時のイメージは「ダサい」。もっとキラキラした世界に生きたいという思いもあって、プロ野球選手を目指していました。
大学になってもその夢は変わらずに追いかけていましたが、待っていたのは「怪我」というアクシデント。やむを得ず野球の道を断たれ、それしかしてこなかった自分は突然選択肢を失う羽目になりました。
幸いにも「ファッションの世界で生きていきたい」という夢を見つけ、卒業後はロサンゼルスに渡りました。現地の生地屋さんとの繋がりもでき、バイヤーの仕事をさせてもらったり、バッグを扱う会社で働かせてもらったりと経験を積む毎日。気が付けば4年半もロサンゼルスで働くことができたんです。
「農業をかっこよくするのも、自分次第じゃないか」と気づいてから
ビザの関係などもあって帰国するかどうかを考えていた時のこと。そこで初めて、「農業」という選択肢を思い浮かべました。と言うのも、「農業はダサいと言っても、自分次第じゃないか」と思ったから。そこで改めて実態を調べてみると、自分が思っていた以上に農業は問題だらけでした。3K、いわゆる「きつい・カッコ悪い・稼げない」だったり、そのせいで担い手が見つからず高齢化が進んでいる現状だったり。きっと世の中の若い人たちも、農業のことを自分と同じように捉えていると思うと、それはやむを得ないようにも思いましたし、だからこそこれから先でイメージを変えていこう、そしていつか農業を日本一かっこいい職業にして、子供たちの将来の夢にも農家がランクインするような未来を作ってやろう、そう心に決めたんです。
目の前の農業と「四季果実園倶楽部」の両輪で進む
農業をやると決めて帰国してからは、一年を通して水菜を栽培し生計を立てるとともに、祖父母が紡いできたメロン栽培を一緒になってやるようになりました。祖父は他界してしまいましたし、祖母も80歳近くと高齢です。作り手がいつ途絶えるかもわかりませんから、ここは僕がと、「せっちゃんメロン」という祖母の名前をつけたメロンをつくっているところです。
それと、先ほど話した「農業をカッコ良くする」なんて壮大な夢は、決して一人でできるものではありません。そこでInstagramで見つけた若手農家に片っ端から連絡をし、15農家ほどで「四季果実園倶楽部」というチームを作りました。発信の仕方を工夫したり、若い人にも親しみやすい商品を開発して、ちょっとずつ裾野を広げていこうと奮闘しています。今の規模はあくまで通過点で、これからもっと仲間を増やして日本を代表する農家集団を目指していきたいです。
直近では「ギャルと農家がつくるフルーツサンド店」を大阪で始め、その後も農家とビールのコラボレーションなど、面白いことをたくさん仕掛けていく予定です。学生時代に野球選手という夢を断たれた自分も、熱量で農業を変えて、キラキラした人たちと肩を並べるのが夢ですね!
※四季果実園倶楽部:https://www.instagram.com/shiki_fruits_gardens_club/